方言?医療用語?わからないからコミュニケーションがとれる!
吹く風にもすっかり秋を感じるようになり、石焼き芋のトラックが恋しくなってきた頃。
私の勤める病院の出入り口付近にも、この時期になると、「ポーッ♪」という、ほんわかと温かな音色を奏でながらl、ラックが横付けされます。そんな時、ふと頭に浮かぶのは、心の中を温かくしてくれる「方言」です。
方言の意味がわからず、「医療用語ですか?

私は生まれは東京ですが、育ちは静岡。
高校も短大も就職も、地元から離れることなく今日まできています。
そんな私が初めて方言を意識したのは、親戚のおじさんからの電話でした。
受話器から聞こえる津軽弁は、独特のリズムとテンポがありました。電話口に出た父親もすっかり津軽の人。
幼な心に「父ちやん、すごい……」と感動さえ覚えました。
そして、看護学校時代。
同級生は全国各地から集まっています。教室で飛び交う言葉にもいろいろな方言が聞こえていました。
どれをとっても、どこかホッとするような不思議な気分がしました。
そうして、地元で育って地元で働くことになった私でも、未知の方言に遭遇することは珍しくありません。
地元に戻ってもさまざまな地方の方言に遭遇
就職して間もない頃、足がパンパンにむくんでいた患者さんがいました。治療の甲斐あって、段々足も軽くなってきた頃、
「看護師さん、だいぶすぴてきたでしよ?」と患者さん。
「……?」
私は何も答えることができませんでした。
私には「すびる」という言葉の意味が分からなかったので
す。ところが、近くにいた先輩の肴護師さんは「本当ねえ〜だいぶすぴてきたじゃないですか。よかったですね」
などと会話を続けています。
そこで、おそるおそる聞いてみました。
「あの〜、すびるって一体どういう意味なのですか?医療用語か何かなんですか?」
そう聞いた私に、先輩は大笑い。
おなかを抱えながら、むくみが引いてきたことを「すびる」と言うのだと教えてくださいました。
また、こんなこともありました。「ご飯がこわくて食べられないさ〜、どうにかしてくりょお」と言われた時のことです。
私は真剣に、「検査をした後だから、ご飯を食べるのが怖いのですか?」と聞いてしまいました。
実は、「こわい」=「硬い」という意味で、その患者さんはご飯が硬くて食べづらいと言ってきたのです。その時の患者さんのポカーンとした顔は今でも覚えています。